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企画?デザインで世の中の問題解決へ。
授業で生まれた可愛い自動販売機デザイン

2024.12.25

PROFILE

芸術学部 グラフィックデザインコース4年生
山本 光憂さん

山本光憂さん
大阪府生まれ。大阪府立工芸高等学校卒業。
趣味は美術館巡り。友達と東京に行き、美術館を一日で5軒回ったことも。大阪成蹊大学に通う友達は「課題で行き詰まったときには相談し合ったり、一緒にいろんな所へ行きいろんな経験をしたり、友達というより仲間みたいな存在ですね」と話す。

街中のさまざまなところで見かける自動販売機。メーカーやスポンサーなどによって、色とりどりのラッピングデザインがされている。大阪成蹊大学の学内には、見慣れないラッピングの自動販売機が。実はこれ、学生がデザインしたもの。そのデザインに携わった芸術学部 グラフィックデザインコース4年の山本光憂さんに、デザインに込めた想いや大学での学びについて聞いた。

「つくってみたい」から始まったグラフィックデザイナーへの憧れ

小さいころから絵を描くのが好きだったという山本さん。絵画教室に通い、動物や人など好きなものを描いていたという。あるとき電車に乗っていると、車内に掲載されている広告に目が留まった。
「カッコいい。こういうのをつくってみたい」。この日からグラフィックデザイナーが将来の夢になった。

将来の夢に向け、グラフィックデザインを学べる高校へ進学。大学も美大?芸大が選択肢だった。

「近畿圏の美大全てのオープンキャンパスに行きました。もちろん大阪成蹊大学にも。訪れてみると、先生と学生とのコミュニケーションが密にあるように感じましたし、自分の個性をより伸ばせるのではないかと思いました。また、企業などで実績を上げている先生方から、実際のデザインの現場さながらの授業を受けられることも強く惹かれた理由です」。
そして、山本さんは大阪成蹊大学への進学を決めた。


 

的確なアドバイスでぐんと成長したデザイン力

入学してみると、同学年のビジュアルデザインコースの学生は30人程度。少人数制なので、毎回授業で先生と会話ができたという。
「入学前に思い描いていたように、先生たちと密にコミュニケーションを取って、自分の中での作品に対する納得度、精度をどんどん高めることができました先生からの指導は、型にはめるのではなく、自分の個性を大切にしてくれるものだったことも良かったですね」。
周りから少し独特と言われる“山本ワールド”という個性を伸ばすことができたそうだ。

授業の中では、ポスター制作、パッケージデザイン、ブランディングなどを行う。制作のはじめには、市場調査を実施。商品やサービスの課題?問題を調べ、どのように解決できるか、自分の中でいくつも案を出していく。その案の中からブラッシュアップさせていき、作品へと落とし込むという。

「2年生の前期だと、4つくらい制作を同時並行で進めていました。ポスター制作だったら、紙に印刷して先生のところへ持って行き、『もっとこうした方が良い』ということを1対1で30分くらい話すのがだいたいの授業の流れですね」。

特にお世話になった先生をお聞きすると、コース主任である姜尚均教授の名前が上がった。
「私が表現したいことを上手く形に出来ずにいると、『こういう風にしてみたら?』と的確なアドバイスをくれます。自分の表現を追求できるように、地盤を整えてくれるというか、しっかり言語化して教えてくれるので、自分の中でも納得しながら制作を進めることができました」。さまざまな角度から確かな提案をしてくれる。そういう見識の広さ、情報の引き出しの多さは自分の身にしていきたいところだと山本さんは教えてくれた。

「いろいろなことを教えていただいてデザイン力はぐんと伸びたと思います。また教職の授業も受けていたので、多角的に美術?デザインを学べました。おかげで自分の考えの幅が広がったと思います」。授業を通して、デザイナーとしての知識?スキルを向上させていった。


▲日本パッケージデザイン学生賞2022 入選

問題解決を図るための企画?デザイン

大学での授業を通して、デザイン力に加え、企画力も大きく成長させた。その成果の一つが自動販売機のラッピングデザインだろう。そのデザインに取り組むきっかけとなったのは、企業などが提供する課題に対して解決法を提案する「プロジェクト演習」という授業。

受講した学生40名へ提供された課題は、ダイドードリンコ株式会社からの、4名ほどのグループで取り組む「異物混入率低減に向けた新しいリサイクルボックスのデザイン提案」と、個人で取り組む「これからの自動販売機に期待する社会的役割についての企画?デザイン」という2つであった。

「グループ課題は、市場調査をして、そこからグループの中で案を出し合いました。私が『怪物みたいなキャラクターに食べさせたらどう?』って企画をグループ内で提案したら、他の人たちがキャラクターのデザインをしてくれて。企画が進んでいきました」。
こうして生まれたキャラクターの名前は“リサイくるん”と名付けられた。
「可愛らしいキャラクターは老若男女に受け入れてもらいやすいと思います。そのキャラクターをデザインして、リサイクルボックスには缶とペットボトル以外を捨ててはダメと、親から子どもへ、また反対に子どもから大人へ言えるような世の中になれば、異物混入率は低減できるのではないかと思い提案しました」。


▲リサイくるんの自動販売機 駅前キャンパス8F 食堂


個人の課題で参考にしたのは、世間の動向であった。
「受講していたときは、生理用品などについて話題になっていた時期。女性の健康課題をテクノロジーで解決する製品?サービスを指す『Femtech(フェムテック)』という言葉をXでよく目にしていたこともあり、そこにアプローチしようと思いました」。
調べてみると、ダイドードリンコでは生理用品を販売する自動販売機も設置していた。それならば、よりグレードアップさせたものをと考えて提案。

「生理用品や生理時に役立つアイテムと、温かい飲み物?鉄分の多い飲み物を自動販売機で購入できるようにして、女性の悩みを解決できるものをめざしました」。
デザインは、ピンクとオレンジのグラデーションで、温かみと優しさを演出した。

提案したどちらの企画?デザインも企業から高評価。山本さんは、授業内で最も優れた提案の証である「最優秀グループ賞」?「最優秀個人賞」のどちらも受賞した。そして、その両提案は企業内で検討され実採用に。学内の自動販売機にラッピングされた。

自分の提案したものが形となって世の中に出ることなんて、人生にそうそうないことだと思うので、実際にラッピングされたものを目にしたときはうれしかったですね」。
目にした友達からも、少しイジられながら、そのラッピングデザインを褒められていることを話してくれた。


▲「 femtech 」自動販売機 南館食堂


▲女性のためにセレクトされた飲料群と共に、生理用品などを同時に購入することができる

いくつもの企業で、制作したデザインが採用に

その他にも『スペアイ』というアニメーションのロゴデザインに参加したりと、企業などにいくつもデザイン案が採用されている山本さん。

授業を通してだけでなく、公募での採用実績も持つ。
その一つが、大阪密着型のブログポータルサイト「オオサカジン」のロゴデザインだ。
「大学内にロゴデザイン募集のポスターが貼ってあり、挑戦してみようと思って応募しました」。大阪らしくたこ焼きをシンボルマークに、小さくしてもモノクロにしても見えるようにという視認性と、どんな媒体なのか伝わるように意識して制作。見事採用となり2023年から使用されている。



▲ロゴの作成が得意だという

自分の世界を広げ、やがてはグラフィックデザイナーへ

デザインを制作するときに意識していることを聞くと、
人が困っていること?悩んでいることを解決する方法の一つがデザインだと思っています。高校生のときから意識していましたが、大阪成蹊大学で過ごしてきて、その意識はより強くなりました。
今何が問題なのかを考えて、そこからデザインへと発展させていくことが多いですね」と山本さん。

卒業制作では、世界の環境問題に目を向けたものに取り組んでいる。
「紙ストローを使った作品を制作しています。いくつもの飲食店で、プラスチックのストローが紙ストローに代わりましたが、それって本当に環境に良かったのか、意味があったのか、今一度考えてもらえるような作品づくりに取り組んでいます」。
卒業後について聞くと、「これからさらに自分の世界を広げていきたいなと思っています。そして、元々の夢であったグラフィックデザイナーの道へ進みたいと思っています」と山本さん。
いつの日か、グラフィックデザイナーとしての“山本ワールド”の一端を目にできることを期待しつつ、これからの進路を応援したい。


▲日常の問題点や課題について考え、デザインへ落とし込む
 

大学、そして高校生の後輩たちへ

最後に、山本さんに後輩へのアドバイスをお聞きした。

「私は大阪成蹊大学に入って、本当に良かったなと思っています。大学では、切磋琢磨琢磨できる仲間もいて、支えてくれる先生方もいます。だから安心して大学生活を送って欲しいです。また、課題制作に対しては、諦めないことが大事だと思っています。諦めずに取り組んでいけば、自分の納得できる作品ができるはず。納得できる作品をつくれたら、人からしっかり評価してもらえます。だから諦めずに取り組むことが大切です。何事も諦めずに頑張ってみてください」。



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※在学生の表記は2024年11月取材時のものです。